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第3回「僧侶」
2000年10月号
写真・文:後藤修身さん
「大学生の頃、好きな女の子がいたんだ」
僧院近くの大きな木の下でキラサ師が答えた。
まだ30代の彼はミャンマーの僧侶にしては珍しく英語が達者だ。堕落した僧侶が多くなったと批判する彼。一人で森の中で瞑想することが将来の希望だとも答えた。
そんな彼についつい俗っぽい質問をしてしまったのだ。いたずらっ子が白状するように、にこっとしながら答えた。そこに、遠くを懐かしむような目をしていると感じたのは、私の錯覚だったのだろうか。
僧侶と話すときはちょっと身構えていた私だったが、それ以来、気軽に接することができるようになった。村の人たちも僧侶たちに祈るために、そして世間話をして笑うために僧院にやって来ていた。